海外で出産して、驚いたこと
大学院から留学し、海外で研究をしていました。今から8年ぐらい前、2014年の終わりに日本に帰ってきて、次の研究テーマを探していた時に、外国人のお母さんたちが日本でどんな子育てをしているのかということに関心を持ちました。
そのきっかけとなったのは、私自身、海外で出産をしたためです。私は1人目の子どもをトルコで出産しました。予定日よりも2か月くらい早く低出生体重児として生まれたので、ミルクもあまり飲めないし、排泄もうまくできませんでした。そんな時、トルコ人の看護師さんは「じゃあミルクの中にオリーブオイルを入れましょう」と言って、1ミリリットルぐらいしか飲まない赤ちゃんの哺乳瓶中に、本当にオリーブオイルを入れたんです!そしたらうまく排泄ができて「あぁ、よかった!よかった!」と、家族で胸を撫で下ろしたことがありました。
トルコの前には、バングラデシュに住んでいたときもありました。その時、バングラデシュの妊婦さんは、辛いカレーも食べることを見聞きしたり、また、首都ダッカのスラムで知り合った家族では、1歳ぐらいのまだ小さな子どもがスパイスの効いたカレーを食べているところを見たりもしました。
「ああそうか、ここの人たちはこういう場所で、こんなふうに暮らしていて、子どもも力強く育っているのだ」と感じました。
あなたの行動をしばっているものはなに?
そんな経験をして日本に帰ってきて、いろんな子育てのことに触れる時に、生後何時間の赤ちゃんのミルクにオリーブオイルを混ぜるなんてことは、もちろんどの日本の育児書にも書いてありません。けれども本に書いてあることだけが正解で、それ以外のことをしてはいけないわけじゃないし、何が良くて何が悪いなんて、国や文化によって全然違う。
「私の子どもは産まれてすぐにオリーブオイルを飲んで元気になったから!」。この経験が、今の自分の子育てとか生き方そのものをすごく楽にさせてくれてます。
日本で暮らしていると「こうしないといけない」「こうしたほうがいい」とか、「理想の母親としてはこうするべき」「お母さんだったらこうしないといけない」といったしがらみに苦しんだり悩んでいるお母さんたちが、とても多いように感じます。けれども外国でいろんな価値観に触れると、そういったしがらみから解放され、日常の生き方がラクになることを、私は実感しています。
人と違うところが、あなたの強みになる
国際学部に来ると普通じゃないのが良しとされます。「あなたはどんな人間ですか」と聞かれます。ルーツ(出自)であったり、ルート(経験)であったり、これまで何をしてきたのとか、そういうことをとても大切にしてくれる先生たちが大勢います。「人と違うところ」は、あなたの「強み」であると。
考えや行動を無意識のうちに自分で制限してしまわないように「国際学部では空気を読まない」ということも言っていますが、そうすることで多様性が本当に認められると思うのです。人と違うことで、今まではちょっと煙たがれたり、理解してもらえなかったり、ちょっと不便に感じていることがあるかもしれない。けれども、その違いは絶対「強み」になる。違うことが歓迎される場所が、ここ国際学部なのです。みなさんも、胸を張って国際学部の仲間になりませんか。