私はエネルギー政策やエネルギー経済学、グリーンファイナンスなど、エネルギー関連のトピックを中心に研究しています。ご説明しましょう。
将来にわたって安定的に
エネルギーを確保するために
私が主に焦点を当てているのは金融とグリーンファイナンシャルの分野です。再生可能エネルギーのプロジェクトは安定的に収益を上げ続けることが難しく、ファイナンスへのアクセスが困難なことがまだ多いです。そこで私は、このようなプロジェクトに民間投資を呼び込むには、どのような手段があるのかを調査し、研究しています。
私が取り組んでいる2つ目の分野はエネルギー安全保障です。ロシアとウクライナが戦争をしている現在はエネルギー危機の時代です。世界的にエネルギー市場が不安定化しており、このテーマはより重要になってきました。特に日本のように、エネルギーの大半を輸入に頼っている国にとってはエネルギー安全保障は重要なテーマです。なので、私はこの分野をより熱心に研究しています。
ファイナンスが
世界をより良くする助けになる
この数年でいくつもの大学で教鞭を取りました。まず最初に慶應大学で、それから早稲田大学、そして東海大学に移りました。それに加えて、いくつかの大学では客員教授をしていました、
この写真はタイのチェンマイ大学です。私はここの客員教授をしています。ベトナム財務省財務アカデミーでは「ファイナンシャル インクルージョン」、つまり経済活動に必要な金融サービスを貧富の別なく全ての人々が利用できるようにする「金融包摂」を、ベトナムにおいて広く実現するための研究をしていました。オーストラリアのグリフィス大学でも客員研究員として働いていました。
また、災害についての研究もしました。近年、気候変動によって引き起こされた自然災害が世界中で頻発しています。被災した国や地域の回復力を高めるには、災害後の資金調達をいかにスムーズに、力強く実現するかが重要となります。これはとてもやりがいのある研究です。このような研究を、大学だけでなく、国連やアジア開発銀行をはじめとする、さまざまな国際機関で行ってきました。
未来を創造するということ
私がいつも学生たちに勧めていることがあります。それは「クリエイティブであれ」ということです。
多くの学生が、大学生活終盤の大切な時期に就職活動に追われています。しかし、私がいつも学生たちに勧めているのは「クリエイティブな起業家になること」です。
もし既存の会社で働きたいなら、何年か働いて経験を積むのもいい。けれどもその後は自分で起業し、自分が本当にやりたいことを始めなさい、と言っています。
起業マインドは、日本にとって必要なものです。政府は良い優遇措置と支援はしています。しかし、スタートアップ企業の数は日本の経済規模に見合うほどには増えてはいません。「起業する」という文化を育てることが重要です。それは日本という国の将来のためには、とても大切なことなのです。
これは東海大学での私のゼミで撮った写真で、オックスフォード大学の学者を招いて講義をしてもらった時のものです。国際学部のゼミでは必ず世界の一流大学の研究者に来てもらい、学生たちが国際的な視野を持てるようにしています。国際的に活躍する人材を育てるのが私の夢なのです。
(2023年3月6日 聞き手:持留和也 )